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AB級100W DCパワーアンプ
このアンプくらい完成までに時間の掛かっ
たアンプはない。
「無線と実験」に発表されたのが1981年
6月号である。
その頃、同じ年の2月号に発表されたAB
級140Wを作ろうと計画していた、しかし
かなり大掛かりなアンプなので製作に躊
躇していた。
そんなときAB級100Wが発表された。
比較的作り易すそうなので飛び付いた。
それから完成したのが2004年8月。
23年も掛かってしまった。

23年の内20年以上、未完成のまま物置
に眠っていたのだ。


ケース加工は会社の金属加工の専門家
に一升瓶1本の手間賃で依頼した。
おかげで市販品並みの仕上がりとなった。

最初は順調に製作が進んでいた。
片チャンネルは音が出て一安心と思い
気が緩んだのか、もう片チャンネルの調
整中にどこかをショートしてしまった。
−45Vの定電圧電源を壊したようだ、こ
うなると壊れたトランジスタを探すのに一
苦労だ。
入手困難なトランジスタ2SA566が壊れ
ていた、大ショックだった。

−45Vが直った途端に今度は+45Vの
定電圧電源を壊してしまった。
ここで嫌気が差してお蔵入りとなった。

2004年春、物置から引っぱり出し製作
再開となった。

+45Vの定電圧電源のトランジスタを取
り外し、トランジスタチェッカーでチェック
して元に戻す、この作業を続けててようや
く壊れたトランジスタを見付け出した。
これがまた入手困難なトランジスタである。

20年以上前のトランジスタがパーツ店で
売っているのは奇跡だ。
今はネットオークションがあり、諦めて
いたパーツも入手できるようになった。
おかげで100%指定部品で再生できた。

いにしえのアンプが21世紀に完成した。


アンプ部
ドライブ段の2SA653も入手が難し
かったトランジスタだ。



±65V 定電圧電源部
ここにも貴重な2SA556を使っている。
OPアンプ式から超高速ディスクリート
電源に進化している。


+45V +14A 定電圧電源部



−45V −14A 定電圧電源部
ここにも2SA556を使っている。



保護回路部

2004年8月6日 完成
その後の経過

完成から順調に動作しているが−45V・
−14A定電圧電源のトランジスタ「2SB
600」が異常に発熱する。


2005年1月
音楽を聞いていた時突然アンプの中で爆発
音がした、しかし音は出ている、保護回路は
動作していない。
慌てて電源を切り裏ぶたを開けて驚いた

+45V・+14A定電圧電源部のタンタル
コンデンサが破裂し、電極と絶縁体が飛び
散っている。

タンタルコンデンサの寿命は20年程度と聞
いていたが、まさか破裂するとは思っていな
かった。
タンタルコンデンサは壊れると電極がショー
トする危険なコンデンサらしい。
ここは破裂したことで他のパーツが助かった
のかも知れない。
現在このタイプのタンタルコンデンサは生産
していないようだ。代替品としてTRITECの
MKPQSに交換した。
2005/2/7




2007年5月

突然焦げたような臭いがした。
裏ぶたを開けてみたら保護回路の抵抗器が
黒こげになっている.

原因不明のまま、しばらくお蔵入りしそうだ。
2007/10/24記
2019/12/12(令和元年)

完全定年を迎えた2019年、久しぶりにAB級
100W DCパワーアンプの修理を再開する
ことにした。

昭和に製作を開始し平成で完成、そして故障。
令和の御代で再稼働を目指す。

製作記事が発表されて40年近い歳月が経過
しているため、当時と同じ部品が入手できる
事は奇跡に近い。
したがってオリジナル部品にこだわらず現在
入手可能な部品を使うことにする。

動作の不安定で経時変化の可能性のある
タンタルコンデンサはすべてフィルムコンデ
ンサに換装する。

保護回路の抵抗器の焼けの原因及び-45V
電源のTr 2SB600の過熱原因を究明し
修理する。これらは相関関係があると
思われる


  









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