bP96
D/Aコンバーター


バー・ブラウンPCM1794の差動出
力をフル活用、I/Vコンバーター以降
を最新DCアンプで構成



DCアンプシリーズで近々D/Aコンバーターの発表があるとの噂はNet上でまことしやかに
ささやかれていた。

現在私の音楽ソースはCDが主流でアナログのLPの入手は中古レコード店で探すしかない、
まして最新のアナログ録音の発売は皆無に近い。
その実、私はデジタルソースをDCアンプで再生する後ろめたさを感じながら、CDで音楽
を楽しんでいる。
最近、この後ろめたさを解消するためターンテーブル制御アンプを完成させLPレコードに
復帰したばかりだった。

しかしD/Aコンバーターは興味津々である、発表されたら即刻製作しよう。


金田明彦氏は満を持して「MJ無線と実験」2008年3月号でD/Aコンバータを発表する
らしい。
一日でも早く記事を見たい、秋葉原の万世書房なら2・3日前に入手できる。
3月号の発売日は2月10日日曜日だ、一般書店の店頭に並ぶのは11日月曜日になる。
2月8日金曜日秋葉原に向かった、万世書房は35年お世話になっている。
早速コーヒーブレイクをしながらページをめくった、思っていたよりシンプルで作りやすそうだ。
D/Aコンバーターは今まで使っていたSONYのDAS−702ESの大がかりのイメージを
持っていた。

今回の製作記事は次月号との2部構成だ、全体が把握できるのは一ヶ月先になる、この間に
じっくり検討しよう。

金田明彦氏がデジタルオーディオに着手したことには内心ホッとしている。
やはりプログラムソースの供給を考えるとCD再生機は避けて通れない。
しかしアナログ一辺倒の金田氏がデジタルオーディオを発表することには複雑な思いがあった
と想像する、記事の冒頭にはかなり苦しい言い訳と思える記載がある。

品薄が予想されるICを購入して帰った。



4月号の発売日は3月10日月曜日だ、万世書房に問い合わせたら7日金曜日午後1時頃に
入荷するそうだ。
7日午前10時に万世書房に到着した、店はカーテンが閉められて「MJ11時OK」の張り紙が
してあった、予定より2時間早く入手できそうだ。
11時に万世書房のおばちゃんがMJを抱えて戻ってきた、配達を待っていると遅くなるので
取りに行っていたそうだ、商売とははそうありたいものである。
4月号一番乗りだ。
全体が見えてきた。
早速製作に取り掛かるためケースを注文して帰った、この時早々に4月号の誤植を発見して
しまった。


使用するICはシーラスロジックのCS8416とバーブラウンのPCM1794だ。
これらでデジタル部を構成する。
アナログ部は2SC960を使用するNTypeとした。

CS8416とPCM1794をSOPピッチ変換
基板SSP−61に取り付ける。

変換基板と基板間は7本より線を使うことに
なっているがハンダゴテを当てるとより線が
落下して配線しづらい、ここはサンハヤトの
専用ピンを使う。
今回初めてDCアンプシリーズに登場した
コンデンサ3種。

左から、
ニッセイ電機 APS
ニッセイ電機、MMH
サンヨー電機 OS−CON
+5Vレギュレーターに使用する2SA566
久々の登場だ。
プリアンプに使用した2SA653より入手が
難しかった。

これは30年前、市販のアンプから取り外
したののだ。
最後の一個なので壊さないように注意が必
要だ。
中央がDAIのCS8416 左右がDACのPCM1794
このPCM1794は一つでもSTEREO動作するがダイナミックレンジを広げるためにLchと
Rchを独立させてある。



IVCとDSC N−Type 2SC960を使用


+5Vレギュレーター いにしえの2SA566と2SC1583を使っている


電源整流部



私にとって初めてのデジタルオーディオ機器の製作で不安もあったが、思いの外簡単に
完成した。
金田氏設計のデジタルオーディオの機器なので製作する人が多ようだ、SEコンデンサー
やトランスなど入荷するまでにかなり時間が掛かった。

音出しをした、今までのCDのイメージがガラリと変わってしまった、演奏の熱気伝わって
くる。
もっとも今まで使っていたD/Aコンバータは、CD初期のものなのでそう感じるのかも
知れない。
同じ音源のLPとCDを繰り返し聴いてみるとその差が縮まっているのが分かる、スクラッチ
ノイズがなく操作性が良い分だけCDが楽しくなる。
ただ
2SC960の発熱とオフセットのドリフトが気になる。
発熱は規格内であるろうが放熱器が必要かも知れない。


【反省】
CS8416とPCM1794をSOPピッチ変換基板SSP−61に取り付ける際ハンダを盛った
後ハンダ吸い取りワイヤーでハンダを吸い取る、この作業は確実に行う事が肝心だ。
作業後、拡大鏡でハンダブリッジのない事を確認した、しかし目視できないピンの奥にブリッ
ジができていたようで片chの音が出ない。
再度同じ作業を行ったら解決した。
今回はMJ誌の致命的な誤植もなくあっさりと出来上がった。

【MJ2008年3月4月号の誤植】 (誤) → (正)
3月号 38頁「図8」 39頁「図9」 ニッセイ電機積層フィルムAPS
     写真で判断するとAPSでない → MMHまたはMMCか?
4月号 44頁 「図13」 「Tr7とD2は熱結合」が抜けている (写真では熱結合してある)
4月号 48頁 「図18」 Tr6→Tr7  Tr7→Tr8  Tr8→Tr9  Tr9→Tr10
4月号 49頁 右24行目 OS70−33−26BX → OS70−26−33BX

3月号の誤植は4月号に訂正記事が掲載されている、しかしその訂正記事に誤植が・・・・・・
4月号 52頁 3月号の訂正 下から3行目 中 → 右


暫定完成  2008年 4月18日 SEコンの入荷が遅れているのでディップマイカ代用で動作
                      確認。
完全完成  2008年 6月 6日 ディップマイカをSEコンに入れ替えて完成。
2008/7/15
追記

2SC960の発熱とオフセットのドリフトが気になる。

DCアンプファンのKさんからメールをいただいた。
今年の春に横浜で行われた金田氏の試聴会で聴いたDACが期待はずれで
DACの製作を中断しているとのこと。

偶然Kさんは私の自宅から自転車で10分くらいのご近所さんだ。
早速Kさん宅にDACを持ち込んで試聴会を行う事になった。
当日はKさんのDCアンプのお仲間のTさんもつくば市から急きょ参加して
いただいた。
KさんもTさんもDCアンプにかなりの情熱を燃やしている。

試聴会の前日、Kさんの大切なスピーカーを破壊してはならないと
気になっていたドリフトの再調整を行った。
Lchは5mV程度で安定しているがRchは30mVもDCが出力されている。
ドリフトを調整し電源を入れ直すとまた30mVのドリフトが発生する。
パワーアンプの保護回路の稼働ギリギリの状態で聴いていたようだ。

最初から調整を行うためIVCをオープンにしてIVCのドリフトを計測したら
数Vのドリフトが発生している。
完成時に調整したはずだがなぜこんなにずれてしまったか?
IVCの出力を0にしたらDSCの出力も安定した。

Kさん宅での試聴会ではKさんTさん共におおむね満足していただいた。

もう一つ気になってる2SC960の過熱だ。

2SC960の表面温度を測った。
マルチメーターの温度センサーを2SC960
の表面に当ててみる。
IVCは85度C、DSCは120度Cまで上昇
している。
測定は表面温度なのでトランジスター内部
はもっと高温になっていることが予想される。
2SC960のジャンクション温度は150度C
なので限界ギリギリだ。

放熱器は必要だろう、とりあえず2SC960
付属の放熱器をアラルダイトで接着した。
しかしDSCはまだ指で触れないほど熱い、
もっと放熱効果が必要だ。

接着した放熱器の上にもう少し表面積の大
きい放熱器を張り付けた、効果覿面だ。

放熱器なしの時より約30%表面温度が
減少した。
またオフセットも安定した。
これで安心して音楽が楽しめる
2008/9/23




後日、Trの過熱はIoが規定の16mA以上に
流れているのではないかと疑いDSCのIoを
測定した。
Lch17.5mA、Rch14.6mAであった。
規定以下のRchでもかなりの発熱である、
ある程度の発熱は逃れられないようだ。
LchのIoを下げてL・R同じにした。
2009/1/28

改造
このD/Aコンバーターが発表された時は
3.3Vの高速ディスクリート電賀宴は開発さ
れていなかった。
Trにかかる電圧が小さいので設計が難しい、
として今後の課題となっていた。

MJ誌2008年11月号の真空管D/Aコンバ
ーターの記事に3.3Vレギュレーターが発表
された。
これを我がD/Aコンバーターにも追
加しよう。

ついでにCS8416の16番96kHzをプルダウ
ンからプルアップに変更しプリエンファシス対
応とした。
2009/1/29


  






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