爺ヶ岳
             じいがたけ
              2670m
2005年9月18日(日)〜19日(月)
晴れ・曇り・雨
扇沢⇔種池山荘⇔爺ヶ岳
  【一日目】
世の中、敬老の日を含めて三連休である。
「常にお年寄りをいたわっているから敬老の
日だからといって特別なことはしなくてもいい」
と訳の解らない身勝手な解釈の元、北アルプ
スへ向かった。
今回は爺ヶ岳を目指すことした、「種まき爺さ
ん」にいたわってもらおうか?

17日土曜日は半日の出勤日である。
朝、重いザックを担ぎ新宿まで通勤だ。
新宿駅のコインロッカーにザックを預けて山ス
タイルで出勤した。

早めに仕事を切り上げ14時発のスーパー
あずさで松本に向かった。
駅で買った新田次郎の文庫本を読み、車中の
暇つぶしだ。
ゲゲッ・・・山岳遭難の話ばかりだ。

今日は松本で美酒「大信州」を楽しんでゆっ
くりしよう。


爺ヶ岳の登山口は立山アルペンルートの出発
点、扇沢バスターミナルから徒歩15分ほど大
町方面に戻った所にある。

三連休とあって駐車場は勿論のこと、路肩も
登山者の車でいっぱいだ。

登山口には立派な指導標がある。
ここから扇沢沿いに柏原新道を登り種池山荘
を目指すことになる。
この柏原新道は種池山荘のオーナー柏原
正泰氏が1963年頃から独力でツルハシや
スコップを持ち開いた登山道である。
1967年頃完成したその名の通り新しい登山
道である。
それまでは扇沢から種池山荘まで直登す
る険しい道のりだったようだ。
(種池山荘HPより)

柏原氏の努力には頭が下がる思いだ。

しばらく扇沢バスターミナルを眼下に、正面に
岩小屋沢岳を見ながら歩く。

1時間20分ほどでケルンに着く。
ケルンと言うより釣鐘を伏せたような形だ、
鉄骨で固定したこじんまりしたケルンだ。
ケルンを過ぎると稜線上に赤い屋根の種池山
荘が見えてきた。

U字に尾根を登り詰めなければならない、
まだまだ先だ。

目的地が見えてくると元気がでるものだが、
この場合気が遠くなりそうだ。
登山道は一貫してよく整備されている、程良い
間隔で岩が置かれている、非常に歩きやすい。

今年の紅葉は例年より遅れているらしい、
色の変わりはじめた木々を見ながら、気持
ちのいい登りだ。

稜線の山荘が見えなくなった、
山荘の直下に来ていることを実感する。

登山道唯一の難所、ガレ場を通過する。
ガレ場の手前には通過するときの注意書き
がある。

ガレ場から種池山荘までの最後の登りがか
なりキツイ。
やっと山荘の屋根が見えてきた、最後の30分
で体力のすべてを使い果たしたようだ。
種池山荘に到着した。
山荘前でアイスクリームを美味しそうに食べ
ている人がいる、山中でアイスクリーム??

迷わずに山荘のお姉さんに「アイスクリームち
ょうだい」・・・ 「売り切れです」・・・一歩遅かっ
た。
諦めて、めったに飲まないコーラの清涼感を
楽しんだ。

山荘でテントの受付をする、テント場の奥から
張り綱が公差するように詰めてテントを張って
下さいという幕営注意書きを渡される。

山荘の隣りに山荘の名前になっている種池
がある、種まき爺さんがまいた種か?

池を右に見て2分ほど進むとテント場がある。
砂で整地されている、これなら背中に石が当た
って眠れない事はなさそうだ。

テント場には前泊の3張りのテントがあった。
隣りのテントの前泊している照英似のおじさん
が「昨日は込んでいたが今日は大丈夫だよ」と
言っていたので少し間隔を開けてテントを張っ
た。

最後の登りでバテたのでゆっくりお昼寝でも
して爺ヶ岳は明日の朝にしたかった。
しかし天気予報によると明日から天気は下り
坂らしい。

今日中にピークを踏んでおこう。

コンビニのおにぎりで昼食にした。

コーヒーを入れて長い休憩をして体力の回復を
待った。

さあ爺ヶ岳へ向かおう。

午後になりガスが上がってきた。
まるで僕がガスを背負って登ってきたようだ。

山荘の向こうが爺ヶ岳南峰だ、
今まで晴天だった空がまたたく間に空が白く
なった。

小さな石を踏みしめて登って行く、登る先々
にガスが上がってくる。
南峰に到着したときの展望は雲の間から少し
山々が見える程度になった。

展望の回復を願いながら中峰に向かった。
名峰、鹿島槍ヶ岳も雲に覆われている。

南峰から一旦下り、登り返すと爺ヶ岳中峰に
到着する。

ガスは稜線の左右から登ってくる。
中峰山頂に着いたときには360度雲の中にな
っていた。

雲の流れが速いのでもしかすると一瞬で展望が
開けるかも知れない。

淡い期待を抱きながら中峰でしばらく雲の様子
を見ていた


←パノラマ写真




20分ほど白の世界の中にいたが展望の回復
の兆しはないようだ。

諦めてテントに戻ろう。

種池山荘に戻った。
冷えた生ビールで喉を潤しながら蓮華岳・針
ノ木岳方面を眺めてため息をついた。

雲の北アルプスもいいものだ、あとの楽しみは
満天の星空だ、夜中に雲がなくなれば天体シ
ョーが展開するはずだ。

いや、昨日松本で見た空には丸い月が出てい
た・・・今日は中秋の名月???

諦めてお月見でもしようか。
 【二日目】
夜中、雲の間から満月が「今夜の主役は俺さ
まだ」とばかりに満面の笑みを見せていた。
天体ショーは無理だ。

朝はしとしと降りの雨になった。
この雨ではテントをたたむのが面倒だ、6時頃
まで朝寝を決め込んだ。
一瞬日が射してきた、今だとばかりテントを撤
収し無造作にザックに放り込み下山の支度を
した。

今回の山行で一つたくらんでいたことがある。
それは北アルプスでRシュトラウスのアルプス
協奏曲を聞くことだ
ウォークマンに小沢征爾指揮ウイーンフィルハ
ーモニー演奏のアルプス協奏曲を録音してき
た。
Rシュトラウスの感じたアルプスと北アルプス
が見事にマッチしている。
山荘前で「嵐の下山」を聞いて下山開始だ。

雨に濡れる石畳に足を取られ、尻餅をつきな
がら一気に扇沢に向かった。

昨日ご機嫌だった岩小屋沢岳の稜線は雲の中
に隠れている。
お恥ずかしい話であるが今まで山名を「じじがたけ」と思い込んでいた、家に帰って地図を調べて
いて気が付いた「じいがたけ」が正解のようだ。
爺ヶ岳の紅葉とお花
【行程】
 一日目
 7:00 扇沢駐車場
 7:25 柏原新道登山口
 8:48 ケルン
10:57 ガレ場
11:35 種池山荘
12:55 山荘発
13:43 爺ヶ岳南峰
13:53 南峰発
14:11 爺ヶ岳中峰着
14:30 中峰発
15:30 種池山荘着

 二日目
 7:50 種池山荘発
10:25 登山口着

  










 
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