苗場山
              なえばさん
              2145.3m
2002年7月6日(土)〜7日(日)
曇り・晴れ
和田小屋⇔下ノ芝⇔中ノ芝⇔上ノ芝⇔
神楽ヶ峰⇔苗場山

信仰の山「苗場山」近年ではスキーの山とし
て知られている。
登山の対象としての苗場山はあまり知られて
いない。
僕もその一人であった、苗場といえば西武系
のホテルとスキー場、それにユーミンのコンサ
ートのイメージしかなかった。
その奧にこれはどの雄大で個性的な山が控
えていたとは、山歩きを始めてから知った事
実である。
今日はふるさとの友人のぶちゃんが加入してい
る山岳会「潤山会」の恒例山行「苗場山ボッ
カトレーニング」に参加させてもらった 。
この「潤山会」は名前こそ山岳会だが内容は
楽しく遊んで楽しいお酒を飲む会である。
しかし会員の中には飛び抜けた山ヤさんが
いる。
2000年5月にエベレスト登頂に成功した
小林重一さんも名を連ねている。
僕が山歩きを始めたのは小林さんのエベレス
トのみやげ話しを聞いたのがきっかけである。
僕は正式会員ではないが宴会のみ参加のユ
ウレイ会員になっているようだ。

苗場山ボッカトレーニングは苗場山の山開
きに合わせて7月第一土曜日に行っている。
苗場山の山頂にある山小屋「遊仙閣」のご
主人菊ちゃんこと高波菊男さんに合いにも
う7年続いている恒例山行だ。
トレーニングと称して山小屋で宴会をしようと
言う企みだ。
一般登山者はスキー場の駐車場から歩く事
になるが我々は山小屋のお手伝いの特権で
和田小屋まで車を乗り入れることができた。
和田小屋の駐車場で菊ちゃんのスキーロッ
ジ「高波ヒュッテ」で預かった荷物をそれぞれ
の背負子に分担して担ぐ。

かぐらスキー場が登山口になっている。
しばらくゲレンデをひたすら登る、登山
道もあるがスキー場を直登したほうが足
元がしっかりしている、しかも25分短縮
できる。
下ノ芝付近で登山道と合流する、標識は
なく藪になっていている、 知る人ぞ知る
登山コースだ。

あらかじめリフトで荷揚げしてある荷物をリフ
トの頂上駅で積みたして山頂へ向かう。
一人30sを担ぐ、今回は野菜が中心だ、
じゃがいも、にんじん、キャベツ、トマト、
鶏卵など八百屋さんのようだ。
関東方面からのボッカトレーニングの山岳
会と此処で合流した。
僕はボッカが初めてという事で85リットルの
ザックに10sのじゃがいもと発砲スチロール
のカレー皿300枚、隊員の食料、飲料水な
どを入れて総重量20sくらいにしてもらった。
ここから先は各自の体力に合わせて自分の
ペースで歩くことになる。
もちろん僕は最後尾に付いた、10sのハン
デがあるのでペースは皆と同じだ。
神楽ヶ峰を通過だ、この辺まではボッカ隊も
順調に歩を進める。
正面には深田久弥氏曰く「鯨の背」のような
雄大な苗場山がデンと控えている。

 ←パノラマ写真
苦労して登ったのにここで一旦下って登り
返す。
誰しもが意欲を失いそうになる、しかしこ
の上に楽園がある。
気を入れ直して下ると鞍部付近に水場がある。
「これから急な登りだ、この水を飲んでガンバ
レ」と言っているようだ。
冷たくおいしい雷清水の喉ごしを楽しんでい
ざ登り返しだ。
ここに遊仙閣への水のポッカ協力要請がある。
重い荷物を背負っているが菊ちゃんの嬉しそう
な顔を見たくて例年2・3本のペットボトルを担ぐ。
今回はペットボトルが置いてなかった、内心ホッ
とした表情になった。
最後の急登だ、あと一頑張りだ。
さすが体力自慢のポッカ隊も息が上がる、
3分登って3分休むペースになった、しか
もヤブ蚊がまとわり付く。

幸い今日は直射日光がなく涼しい風が吹い
てて助かった。
快晴無風だったらどうなっていた事だろう。

やっと山頂に着いた。
僕の前を歩いていたのぶちゃんは頂上の手前
で先を譲ってくれた、友情を感じた一瞬だった。
この遊仙閣へ向かう木道はのぶちゃん曰くビク
トリーロードだそうだ。
のぶちゃんと僕は勝利を味わうかのようにゆっ
くり遊仙閣へ向かった。

 ←パノラマ写真

遊仙閣に到着だ。
菊ちゃんと奥さんが笑顔で迎えてくれた。
冷えた缶ビールで慰労してくれた、一気
に飲み干して大きな息を付いた。

遊仙閣の裏に一等三角点がある。
お約束の三角点詣だ、残念ながらここから
の展望はない。
早速宴会の始まりだ。
菊ちゃんの作ってくれた筍汁をいただいた。
苦しかった登りの事はもう忘れている。
ボッカで荷揚げした焼き肉で宴会だ。
潤山会のエース、アルピニスト小林重一さん
が山小屋で待っていてくれた、僕達より先に
登っていたのかと思っていたら此処で山岳ガ
イドをやっているそうだ。
エベレスト登頂の経験を生かしてエベレストト
レッキングや北アルプスのガイドをやっている。

東京工業大学の学生と合流した、と言うより酔
っぱらいおじさんたちが無理やり誘ったのだ。
ここで小林重一さんの独演会が始まる、なにし
ろ山を語らせると止まらない。

苗場山も陽が暮れ始めた。
朝、雲上の楽園を散歩した。
まさに神々の田圃だ。


 ←パノラマ写真
宿泊客を見送ったあと菊ちゃんとのんびり
日向ぼっこをした。
ゆっくり過ぎる時間を楽しんだ。
のぶちゃんは少し二日酔いだ。
小林重一さんは新潟でネパールのエージェント
とトレッキングの打ち合せがあるとの事で一足
早く下山して行った。
さすがアルピニストだ和田小屋まで2時間で降
りるそうだ。
潤山会のメンバーと菊ちゃんと記念撮影をし
て帰り支度をした。
まだまだゆっくりしていたいがそろそろ下山
しよう、今日は暑くなりそうだ。
菊ちゃんが鐘を鳴らして見送ってくれた。
帰りは荷物も軽く足取りも軽い。
雷清水から苗場山を眺めた。
帰りは優しい姿に見えるのが不思議だ。
7月の第一日曜日は苗場山の山開きだ。
麓から山伏が登ってくる、時々ホラ貝の音
が聞こえる。
御神体は遊仙閣二階の奥にある。
山伏は町役場の職員が扮装しているのだ
そうだ。
山伏氏に「写真を撮らせて下さい」とお願い
したら「少し待って、正装するから」「いえい
えそのままで結構です」サービス満点の山
伏氏である

神楽ヶ峰でポッカで登ってくる「越稜山岳会」の
メンバーとすれ違った。
さすが老舗山岳会だ担ぐ量が違う。
和田小屋が見えてきた。
楽しい時間はすぐに過ぎ去って行く。
帰りに湯沢温泉に浸かって汗を流した。
ポッカのアルバイト料で食事をした、余ったお
金で新しい背負子を買うそうだ、と言うことは
・・・来年は僕も30s担ぐのか?

苗場山の花たち





【行程】
一日目
 4:30 自宅発
 7:45 高波ヒュッテ着
 8:45 和田小屋着 荷造り
 9:15 登山開始
10:18 下ノ芝
10:50 リフト小屋 荷造り
11:30 リフト小屋発
12:25 小松原分岐
12:45 神楽ヶ峰
13:30 雷清水
14:53 苗場山山頂
15:00 遊仙閣着

二日目
 9:40 遊仙閣発
10:20 雷清水
10:50 神楽ヶ峰
12:15 和田小屋着
18:00 自宅着


  











inserted by FC2 system