燕岳
             つばくろだけ
              2763m
2005年7月16日(土)〜17日(日)
雨・曇り・晴れ
中房温泉⇔合戦小屋⇔燕山荘⇔燕岳
  【一日目】
海の日を含めた三連休である。
久し振りにテントを担いで北アルプスへ向か
おう。

今回は燕岳を目指すことにした。
この燕岳は松本市近郊の小中学校の遠足
登山の対象となっているようだ。
比較的登りやすく危険な個所が少ないから
だろう。
しかし北アルプス三大急登と言われ相当
手強いようだ。

前日の金曜日、仕事を早々に切り上げ
高層ビルの立ち並ぶ西新宿アルプスを背に
北アルプスに向かった。

職場から山へ直行することになる。
大きなザックを持ってラッシュの電車に乗る
のは困難だ、3日前から荷物を小分けにして
新宿駅のコインロッカーに入れて準備した。


今にも降り出しそうな雲行きの中、登山口の
中房温泉に到着した頃には小雨がパラつい
てきた。
今まであまり雨の中を歩いた事がなかったの
ですっかり戦意は失われていた。
4年前に買って殆ど使っていない雨具を着込
んで気合いを入れ直し出発した。

登山道には第一ベンチ、第二ベンチ、第三ベ
ンチ、富士見ベンチ、合戦小屋と程良い間隔
で休憩ポイントがある。
しかし例によって重い荷物と体力の無さで休
み休み進み、ベンチで小休止の状態である。
しかも雨降りで雨具の中は蒸れて気持ちがわ
るい、ゴアテックスの限界を超えた発汗である。
雨が降ったり止んだりでその都度雨具を着た
り脱いだりで大忙しだ。

登山道のいたるところに階段が設置されている、
これが雨に濡れて滑りやすい、気を付けて進
もう。
合戦小屋までは急登の連続だ。
小屋泊まりならこんな重い荷物を背負わなくて
もいいのだが、雑魚寝が苦手なので仕方ない。

やっとの思いで合戦小屋に到着した。
ここの名物冷えたスイカで一息付いた、
今年の長雨のせいだろうか、甘さは不足して
いるようだが、渇いた喉と疲れた体にしみわた
る。

30分ほど休憩していたら体が冷えてきた。
重い腰を上げ歩きはじめた。
合戦小屋から少し登ったところで三等三角点
を発見。

合戦沢ノ頭だ、晴れていれば槍ヶ岳が望める
らしい。

点名「濁沢」標高2488.96m

雨に濡れた新緑がいっそう輝きを増して美しい、
しかし楽しみにしていた山容は麓しか見せてくれ
ない。

ようやくきつい尾根登りも終わり、なだらかな稜
線に出た。
登山道唯一の鎖場を通過、なかなか燕山荘の
姿は見えてこない。
いい加減歩くのがいやになり、休憩がてら花
の写真を撮りながらふと斜面を見上げた。
霧の中にかすかに浮かぶ燕山荘の姿が見え
た、ようやく着いた。
目的地が見えたら何となく元気が出てきた。


重いザックをテント場に置いて燕山荘にテント
の受付とビールの調達に向かった。

幕営手形と缶ビールを片手にふと喫茶室を見
ると美味しそうなケーキがあるではないか。
酒飲みでケーキも好きな二刀流である。

缶ビールをテーブルの上に置き、ケーキとコー
ヒーで窓の向こうに見えるであろう山々を想像
しながら、標高2700mのコーヒーブレイクと
した。
テントを設営した。

今回は2〜3人用の大型テントを新調した。
西新宿アルプスの麓にある登山用品店で
購入したものだ。
一人用に比べれば少し重いが、この広い空間
は捨てがたい。

新しいテントを購入したときはあらかじめ組み立
てて不具合をチェックしなければならないが、
時間の余裕がないためテントを開封せずに持
ち込んだ。
特に不具合はなく一安心だ。

相変わらず霧は晴れない、この天候なので
燕岳山頂は明日登る事にしよう。
すかりのんびりモードに突入し、新築祝いの
ビールを飲んで昼寝をしていた。



4時頃テント内が急に暑くなり目が覚めた。
霧が晴れて太陽が顔を出したようだ。
目と鼻の先にある燕岳がようやく姿を現した。

山荘では「ブロッケン現象が出た」との声が聞
こえた、早速僕も太陽を背に手を振ってみる
がすでに遅かった。
滅多にお目にかかれない現象なので残念だが
その内にお目に掛かれるだろう。



夕食を済ませ楽しみにしていた満点の星も期待
できないので早々に寝袋に入り込んだ。
7時頃に就寝する習慣がないのでなかなか寝
付かれない。


時折天幕に雨の当たる音が聞こえる、
明日も雨か・・・・

  【二日目】
翌朝、有明山方面からの御来光を拝み燕岳
に向かった。
防寒具と水だけ持って朝のお気楽散歩だ、
花崗岩の砂礫を踏んで片道30分の行程で
ある。

晴れてはいるものの冷たい風が強く吹いてい
る、帽子を飛ばされないように目深にかぶる。

山の裾野は見えるが3000m以上は雲の中
だ、
完全な展望ではないが燕岳山頂から北ア
ルプスの山々を楽しんだ。

狭い山頂には山頂の標識と二等三角点が遠
慮がちにある。

点名「燕岳」 標高2762.85m

  ←360度パノラマ写真 
山頂からテント場に戻った頃、今まで雲に隠れ
ていた北アルプスのシンボル、槍ヶ岳が姿を表
した。


せめて槍ヶ岳だけでも見て帰りたいと思った
登山者は僕だけではないだろう。
山荘の宿泊客も前庭に出て歓声を上げてい
る。

雨に悩まされ、急登の連続にアゴを出た登り、
きつい尾根登りに比べ優しい山頂。

それぞれの山にはそれぞれの表情がある、
辛い登りを克服した者だけがもらえる山の
ご褒美を土産に下山を開始した。


楽しみにしていた満天の星空は見られなか
ったが槍ヶ岳の勇姿を見られて満足であった。


下りは昨日の登りとは違って足取りも軽く
一気に中房温泉まで降りた。

もうそこは真夏の日差しとなっていた。

中房温泉には下山者専用の立寄り湯がある。
ぬるりとした泉質で気持ちがいい。
小振りな露天風呂で二日分の汗を流した。

さあ安曇野で冷えたビールを飲んでそばでも
食べて帰ろう。
燕岳の花たち
三太夫、小言幸兵衛になる

登り、富士見ベンチで中年女性がティッシュペーパーを林に捨てたのを目撃した。
「ゴミを捨ててはだめですよ」と注意、その中年女性「この紙は溶けて土に戻る紙だから大丈夫」
だって??
たとえ土になったとしても山の生態系を変える行動はしてはいけないのだ。
登山道でミカンの皮などが捨てられているのを見掛けるが「植物だから土になるからいいだろ」
うとでも思っているのだろうか。
山に持ち込んだものは持って帰る、テイクイン・テイクアウトは最低限のルールだ。
富士山が世界遺産になれなかった理由を考えてほしい。


燕岳山頂付近の大きな花崗岩一面にイタズラ書きがされている。
随分古いイタズラ書きに見える、こんな事をする登山者は今はいないと信じたい。



【行程】
 一日目
 8:00 中房温泉登山口
 8:38 第一ベンチ
 9:25 第二ベンチ
11:05 富士見ベンチ
11:50 合戦小屋
12:20 合戦小屋発
12:50 合戦沢ノ頭
13:50 燕山荘

 二日目
 6:00 燕山荘発
 6:23 燕岳山頂
 6:35 下山開始
 7:05 燕山荘着
 8:45 燕山荘発
 9:30 合戦小屋
12:00 中房温泉登山口


  











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